パンを廃棄しないための工夫

こんにちは!
最近、暑い日が続いていますね。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

さて、パン屋を運営している方やイベント販売に参加している方は、避けて通れない問題としてパンの廃棄があると思います。特に暑い日にはパンの売れ行きが悪くなる傾向がありますね。

そんなパン屋さんの悩みを、パン材料の専門家である私たちが解決のお手伝いをします。本記事では、パンの廃棄をできるだけ防ぐためのアイデアを皆様と共有したいと思います。

 

食料廃棄ってどんな問題なの?

食料廃棄は世界中で深刻な問題となっています。国政連合食料農業期間(FAO)によると、世界全体で生産される食品の約1/3が廃棄されています。特にパンは世界で最も廃棄されていると言われています。

それでも、廃棄しなければならない理由があります。なぜなら、価格を下げるとその商品の価値やブランドのイメージが下がるからです。安売りに慣れてしまった顧客は、その価格でしか商品を買わなくなってしまうでしょう。

小さなパン屋がパンを廃棄することは、社会全体で見た時それはとてつも些細なことなのかもしれません。それでも、何日も前から仕込みして時間をかけた手作りのパンを、簡単に廃棄はしたくないですよね。手作りにこだわると、一つ一つのパンに感情が生まれます。

それでも、時にはやむ終えず廃棄しなければならないことがあります。パンは常温で保管できても、鮮度がとても重要なのです。パンを食べる人は焼き立てのパンをその日に食べたい!というのが本音でしょう。

それでは、どうすればパンの廃棄を減らすことができるのでしょうか?

夏にパンが売れないのはなぜ?

夏にパンが売れない理由はいくつか考えられます。

まず一つに、暑い夏に粉ものや暑い食事、油ものを避ける傾向があります。また、気温が高く日照時間が長い夏は、自然と食欲が減退することも一因となります。
夏はさっぱりとした料理や冷たい食べ物が好まれますが、パンは夏の嗜好に合わないと感じる方が多いのかもしれません。

食事は体温調整の一環でもあります。しかし、日が長く気温が高い夏は、体温を上げる食事を控えることで体温の上昇を抑制し、結果として食欲が低下します。

パン屋は夏に向けてさっぱりとした風味のパンを開発する、冷たいパンを提供する、保存性を向上させるなど、季節に対応した戦略を考えることが重要ですね。

また、小さなパン屋さんでは、夏場は思い切って営業をお休みにするところもあるそうです。

 

パンを廃棄しないための工夫 7つ

「パンは常温で保存可能なので、販売も簡単なはず?」と思われがちですが、実際にはそうではありません。

パンは鮮度が非常に重要で、パン屋はその日に焼き上げ、その日のうちに売り切ることを目指しています。しかし、売上の予測は難しく、結果としてパンが余ってしまうこともあります。

そこで今回は、パンの廃棄をできるだけ避けるためのアイデアを7つ、皆さんと共有したいと思います。

1. 客足を予測し製造量をコントロールする。

飲食店では通常、顧客の流れを記録し、それに基づいて営業準備を行います。ほとんどの飲食店では、特に金曜日や土曜日は通常よりも多めに仕込みをします。

しかし、小さなパン屋さんのような個人経営のお店では、顧客流れの予測が難しいことが現状です。それでも、天気予報などは常にチェックする必要があります。例えば、雨が降ると顧客の来店が減る傾向があります。

以下の項目を特に考慮して記録することで、顧客の流れが予測しやすくなるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。

  • 天候・・・その日の天候、気温、湿度などにより、客足が異なる場合があります。
  • 近隣の店舗の状況・・・例えば、隣のパン屋がセールをしていれば大きな影響があります。
  • メディアへの露出・・・例えば、雑誌やテレビの取材が入ったりすると予測が難しくなるでしょう。

これらの要素を考慮に入れ、売上の個数と金額、来客数を記録し、それに基づいて予測を立ててみてください。

2. SNSでリアルタイムのお店情報を共有する

個人経営の小規模なお店であると、営業しているかどうかがわかりにくいという課題があることもあります。しかし、地元密着型の小さなパン屋さんでは、お客様との絆が強いはずです。インスタグラムやFacebook、TwitterなどのSNSを効果的に活用することで、更に多くのお客様を引き寄せることが可能になるかもしれません。

例えば、インスタグラムのストーリー機能を使って「まだ〇〇がたくさんあります」や「もう売り切れました」といった余剰パンの情報をリアルタイムで共有することで、近隣に住む方々が来店するきっかけになり得るでしょう。

3. 予約制の導入する

小さな個人経営のパン屋さんでは、その日に全てのパンを売り切ることが重要です。しかし、顧客の来店を予測することが難しいなどの課題があります。そんな時は、SNSを活用して予約制を導入すると計画的に運営が可能になるかもしれません。

お客様とのコミュニケーションに便利なツールに、インスタグラムや公式LINEアカウントなどがあります。予約制を導入することで、パンの製造量を適切にコントロールすることが可能になります。

さらに、独自のECサイトを立ち上げ、そこでの予約購入を可能にするという方法もあります。BASEやSTORESなどのサービスがおすすめです。これらのプラットフォームは操作が簡単で、コンピューターに詳しくない方でも容易にオンラインショップを開設できます。

4.rebake(リベイク)を活用する

パンの廃棄を減らすための有効なサービスもあります。
rebake(リベイク)は、余ったパンを廃棄する代わりにオンラインで販売できるサービスです。このアプリに余ったパンの情報を登録し、それをみた人が予約・購入することができるようになります。これにより、パンの廃棄を防ぎながら、新たな顧客とのつながりも生まれます。

リベイクはパンの廃棄を抑制し、環境負荷を減らすことを目指しています。これに共感し参加することで、お店が環境配慮に注力しているという理念がお客様に伝わるでしょう。

パンの廃棄を減らすために、このようなサービスが増えていけばいいですね。

5. パンをリサイクルする

パンを作る量をコントロールしても、やむ終えず余ってしまうことがありますよね。この場合は、余ったパンを二次利用する方法もあります。ただし、これには手間がかかるため、パンの種類によってはその効果が限定的になる可能性があります。例えば、余ったバゲットなどは、フレンチトーストなどのデザートに再利用することが可能です。

また、乾燥させてパン粉を製造するのも良いアイデアでしょう。実際にヨーロッパのパン屋ではパン粉などで新たなレシピを考案し、パンを廃棄せずに再利用する取り組みが行われているそうです。

6. コミュニティとの連携

自治体によるところも大きいですが、小規模な個人店が集まるコミュニティに参加することは、パンの廃棄を抑えるために役立つ可能性があります。

例えば、売れ残ったパンや焼き菓子を買い取り、仕事で忙しい方や身体の不自由な方向けに移動販売を行う団体もあるそうです。

また、コミュニティ内での連携により、売れ残ったパンを他店舗で販売したり、寄付したりすることが可能となり、これによってパンの廃棄を防ぐことができます。

7. フードバンクへ寄付する

いくつかの対策を試したにもかかわらず、パンが余ってしまう場合は、廃棄する代わりにフードバンクへ寄付する選択肢もあります。フードバンクは、賞味期限や見た目などの問題で市場に流通できなくなった食品を受け取り、それを必要とする人々へ配布する活動を行う団体です。

直接的な収入にはつながらないかもしれませんが、廃棄するよりは寄付によって誰かの役に立つことができるでしょう。さらに、このような社会貢献活動は店舗の評価向上に繋がり、将来的に新規顧客の獲得に寄与するかもしれません。

まとめ

本記事では、私たちはパンを廃棄しないためのアイデアをいくつか共有しました。それでも、小規模な個人経営のパン屋の場合、大量に作るのではなく、決まった数量を製造し、それを売り切ることを目指す方が、お店を長く続けるためには有効です。

それでもなおパンが余ってしまった場合には、私たちが提案したアイデアを参考にしてみてください。

ベーカリスタでは、パン作りに役立つ情報や、パン作りをより楽しむためのアイデア、さらにパンや小麦に関する知識をお届けします。