小麦の消費量は増えたのか。

私たちが小麦を食べるようになったのは、最近のことかのように語られることがあります。

「小麦って、もともとは外国由来のものでしょう?」
そう考える方も多いのではないでしょうか。輸入小麦が入ってきたことにより私たちの食生活がすっかり洋食化してしまい、小麦の消費量は近年増え続けていると感じることがあるかもしれません。

しかし、小麦がいつ、どのくらい増えたかはあまり語られてきませんでした。実際に私たち日本人はいつから小麦を食べていたのでしょうか。日本の小麦の歴史を知ることができれば、私たちがどのくらい小麦に馴染みがあるのかを把握をすることができ、食生活を考えるきっかけになるかもしれません。

今回の記事では、日本人はいつから小麦を食べていたのか。またどのくらい消費してきたのかについて調べていきたいと思います。

実は、日本の小麦の歴史は長い。

「小麦は最近食べられるようになったんでしょ?」そう思い込んでいませんか。実は日本の小麦の歴史は長く、弥生時代から生産されていたと言われています。奈良時代にはすでにうどんなどの麺類を食べていたそうです。つまり、先人たちは米だけではなく小麦も食べてきたのです。

農林水産省が公表している小麦の収穫量推移を見てみると、国内でどのくらい小麦が食べられてきたのかを推測することができます。

戦前の小麦自給率はほぼ100%でした。1940年にかけて小麦の生産量は増えピークを迎え、1945年の終戦と共に一度生産量は落ちてしまいますが、1961年に再び生産量を増やすことに成功しています。1970年頃、本格的に輸入小麦が入ってきたことにより生産量は大きく減ってしまいましたが、現在を見てみると、以前の生産量を取り戻していることがわかります。生産量が増えたり減ったりしていることから、生産能力はもともと安定していないということがわかります。

それでも戦前と比べればやや増加傾向にあると言えるでしょう。また、現在の農林水産省の取り組みとして、補助金の制度を充実させるなど小麦生産者を支援する傾向にあるため、今後増加することが予想されています。

戦後、輸入小麦が増えた。

日本の小麦の歴史は意外にも長いということがわかりました。しかし、現在の国内の小麦自給率はたったの13%程度です。私たちが食べているパンや麺類のほとんどは輸入小麦が使用されているのです。いつから輸入小麦が導入されたのでしょうか。小麦自給率のデータを見てみましょう。

農林水産省の小麦の自給率をまとめたページから、実際の国内生産と輸入の割合を調べることができます。輸入小麦は戦後の1945年を起点に増えていることがわかります。戦前はほとんど国内で賄っていましたが、現在は輸入に依存していることがわかります。

「輸入小麦が増えたことで国内小麦が減ってしまった。」と考える方がいるかもしれません。しかし、実際にデータを見てみると、輸入小麦が増え、国内小麦の生産量はあまり変わない、または、もともと少ないという見方が正しいでしょう。私たち日本人は輸入小麦が入ってきたことで、より小麦を食べるようになったのです。

戦後から小麦の消費量は変わっていない。

輸入小麦が入ってきたことにより、私たちの食生活が米から小麦へシフトしたと感じる方もいるでしょう。実際に私たちはどのくらい小麦を食べるようになったのでしょうか。

「小麦の消費量は近年増え続けている。」と考える方がいるかもしれません。戦後、確かに輸入小麦は増えましたが、同時に日本の人口も増えています。小麦の消費量を見るには人口増加も考慮しなければなりません。 農林水産省が公表するデータから国民一人当たりの年間消費量を調べることができます。米、小麦、肉類で比較して見てみましょう。 ​​

実際にデータを見てみると、戦後やや増えましたが、昭和40年以降から消費量は変わらないということがわかります。

しかし、米の消費量はどうでしょうか。
現在の米の自給率は昔から変わらず、ほぼ100%です。しかし、現在私たちが消費している米の量は戦後と比べるとほぼ半分まで減ってしまいました。
近年、米がまるで小麦に代わってしまったかのように語られることがありますが、単純に米の消費量が減っただけなのです。代わりに肉類の消費が増えています。

国内で生産されてきた小麦とは。

現在の国内小麦の生産地の6割以上は北海道で生産されています。しかし、北海道で小麦が生産されるようになったのは、1980年以降です。それまでは、関東と九州が生産の中心でした。また、そのほとんどはうどんなどの麺類に使用する中力系小麦でした。

1970年頃、国内の小麦の生産量は大きく減少してしまいます。そして、輸入小麦が本格的に日本に入ったのはこの時期からと言われています。戦後、アメリカの政策によって学校給食にパンが導入されました。こうして私たちは普段の日常生活でパンを食べるようになったのです。

当時日本で栽培されていた小麦のほとんどはグルテン量が低く、パンを作ることはできませんでした。昭和63年頃、それでも国内小麦でなんとかパンは作ることはできないかと、研究は行われてきました。なぜなら、アメリカから輸入される小麦に使用される殺虫剤などが健康被害のリスクがあるとスクープされるなど、国民は当時の輸入小麦に不信感を抱いていたからです。

そしてパン用小麦として初めて誕生した品種が「はるゆたか小麦」でした。平成に入る頃、はるゆたか小麦は北海道で大々的に生産されるようになりました。そして、はるゆたか小麦の継承品種である春よ恋小麦など、次々とパン用小麦が誕生し、北海道はパン用小麦の生産地として栄えるようになったのです。

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まとめ

実際のデータと照らし合わせた時、思っていたよりも少ないもしくは多いと、ギャップを感じた人はいるでしょうか。

「輸入小麦により国内小麦が減った。」と考えられることがありますが、データから読み解くと確かに輸入小麦は増えましたが、国内小麦の生産量はあまり変わらないということがわかりました。

また、輸入小麦により、確かに私たちは小麦を食べる量は戦前と比べて増えたかもしれません。ただ、戦後からの一人当たりの小麦の消費量はあまり変わらないということがわかりました。 米から小麦にシフトしたと感じるのは、小麦の消費量が増えたのではなく、単純に米の消費量が減ったからなのでしょう。

小麦は昔から食べられてきたものだから大丈夫という人もいれば、輸入小麦は避けたいと考える人もいるでしょう。小麦の歴史を学ぶことで、私たちの食生活で何が起きているのかを俯瞰して見ることができ、あなたの食生活について考えるきっかけになるかもしれません。詳しく知りたい方は、農林水産省のホームページを訪れてみることをおすすめします。

私たちは、安心でおいしい小麦を届けることで、あなたの食生活をより豊かなることを願っています。