古代小麦って何?スペルト、エンマー、カムットの起源とは。

古代小麦とは

現在流通している小麦に至るまでには、さまざまな技術的、科学的な改良によって、また、食文化の発展によって、現在のようなパンやめん、菓子など幅広く加工のしやすい小麦粉となりました。

しかし、数千年前の小麦は、現代小麦とは成分の違いだけでなく、穂の長さ、茎の強さ、生産性など、あらゆる面で異なっています。スペルト小麦など、長い年月をかけてもその形態を変えず、古代から受け継がれてきた小麦を、「古代小麦」と呼ばれている。

古代小麦といえば、スペルト小麦と思う方もいるかもしれません。現在はそのように認知されているでしょう。

しかし、古代小麦にもいくつかの種類があります。現在流注している古代小麦には、スペルト小麦、エンマー小麦、エンコーン小麦、カムット小麦の大きく分けて4つがあげられます。

スペルト小麦(ディンケル、ファッロ)

古代小麦といえばスペルト小麦というほど、世間では認知されており、パンや麺などの小麦粉として流通してします。また、スペルト小麦にも、原産国によって品種が異なり、現在国内で栽培されているものとして、フランケンコルンやオーバークルマー・ロトコーン、ホーヘンローハーなどがあります。フランケンコルンはドイツ由来のもので、当店の北海道産スペルト小麦粉はこれに当たります。

現在スペルト小麦はドイツ、フランス、イタリアなどヨーロッパに限らず、アメリカでも栽培されています。わずかではありますが、国内でも少しずつ栽培され始めています。 マイルドなナッツのような風味が特徴です。

エンマー小麦(フタツブコムギ)

エンマー小麦はイタリアのファッロ料理などで見かけるかもしれません。エンマー小麦は別名ファッロと呼ばれ、イタリアの古代穀物として食べられています。また、イタリア語ではスペルト小麦もファッロと呼ばれています。

エンコーン小麦(ヒトツブコムギ)

エンコーン小麦は古代小麦の4つの中で一番粒が小さく、また一番古く、全ての小麦の先祖であると言われています。約10,000年前から栽培されていて、現在も非常にわずかながら生産されています。

カムット小麦(ホラサン)

カムット小麦は別名ホラサン小麦とも呼ばれ、イランの歴史的な地名にちなんで名付けられました。しかし、アメリカのモンタナ州で60年以上も栽培されてきたことから、カムット小麦として商標登録されています。現在は料理やサラダなどで使用されることが多いです。

古代小麦が現代小麦になるまで

実は、古代小麦も何度も自然的に交配がされてきたため、原型と言い切れるのは難しいということがわかります。しかし、現在の普通小麦(パン小麦)と比べると、スペルト小麦やカムット小麦は明らかに性質が違います。 エンコーン小麦やクサビ小麦が起源であると言われており、そこからフタツブ小麦、カムット、スペルト小麦が誕生していきます。一般的に定義づけされている古代小麦は、スペルトまでと言われています。現在よく使用されているパン用小麦も、このスペルト小麦が祖先に当たるのです。