サワードウを作るコツやおすすめの小麦粉は?


サワードウってご存じですか。日本ではサワー種とも言われています。
さまざまな発酵種の培養方法がある中で、最も古く歴史ある発酵方法が、今回ご紹介する「サワードウ」です。

サワードウはスタンダードなパン酵母です。しかし、サワードウは初心者には難しいと言われています。
「作れるかどうか不安」「どの粉を使えばいいかわからない」という方がいるかもしれません。

しかし、それでもサワードウの挑戦するメリットがたくさんあります。また、粉と水だけで作られるサワードウのプロセスは非常にシンプルです。

今回の記事では、サワードウにはどのようなメリットがあるのかをご紹介します。もし、あなたがサワードウに憧れているのであれば、今回の記事を読んで挑戦するきっかけとなってもらえると嬉しいです。

 

サワードウは「粉」と「水」だけ。サワードウができるまで。

サワードウを作るのは難しいと言われています。まだ作った経験がない方はどのようなものなのか、いまいちイメージがつかないですよね。しかし、発酵プロセスは非常にシンプルで、かつ最も古い発酵技術であり、自家製酵母の王道の方法であるとも言えるでしょう。

サワードウに必要な材料は「小麦粉またはライ麦粉」と「水」のみ。必要に応じて塩を添加します。

なぜ、それだけの材料で自家製酵母が作れるの?と思う方がいるかもしれません。
実は酵母は食物の表面などに付着していたり、空気中に浮遊していたりします。酵母そのものをゼロから作り出すのではなく、もともと小麦やライ麦の皮に付着している酵母を繁殖させ育てることで、パンを発酵させるのに役たつパン酵母が出来上がるのです。

また、サワードウは豊富な乳酸菌を含んでいます。一体どこから乳酸菌はやってくるのでしょうか。
サワードウはその名の通り、サワー(酸味のある風味)が特徴です。その独特の酸味はサワードウに含まれる乳酸菌が生成する乳酸によるものです。
乳酸菌は空気中に浮遊しています。サワードウに乳酸菌がたくさん含まれる理由は、小麦やライ麦に含まれる糖類(麦芽糖)のおかげです。乳酸菌は麦芽糖を栄養源とし、グルコースやフクルトースなどをします。さらにそれを栄養源として酵母を育ちます。

サワードウに含まれる酵母や乳酸の種類や比率は、その土地の気温や風土によって異なります。同じプロセスで作ったサワードウでも味が異なるのは風土の違いが理由です。つまり、そのサワードウのパンは、その土地柄ならではの味なのです。また、伝統的なパン屋では、長年同じサワードウを培養し続けて使うため、その店ならではの味を楽しむことができます。

ルヴァン種というパン酵母も同じ発酵プロセスを持ちます。サワードウとルヴァン、何が違うの?と思われるかもしれませんが、サワードウの場合はライ麦パンに使用すされることが多いため、ライ麦粉を使用する点がルヴァン種は異なります。

サワードウは最も古いパン酵母。

サワードウは、最も古くからある発酵方法の1つです。
スイスで発見された最古のサワードウパンは、約5700年前と言われています。しかし、サワードウは古代エジプトで始まり、それがヨーロッパで広まったと考える研究者もいます。

ライ麦パンは主にドイツなどのヨーロッパ北部で人気のある穀物です。ライ麦100%から作られたパンは、通常、サワードウが使用されています。しかし、ライ麦には十分なグルテンが含まれていないため、市販のパン酵母で発酵させるのはなかなか難しいと言われています。サワードウはライ麦から作られることもあるため、生地を扱いやすくし、ライ麦パンに向いていると言われています。

なぜ、サワードウが良いか。

さまざまな発酵方法がある中で、なぜサワードウは古くから存在し、現在もなお多くのパン屋で採用されています。なぜなら、サワードウにはたくさんの健康メリットがあるからです。

1. 栄養価が高い。

サワードウのパンには、他のパンよりもビタミン、ミネラルが豊富で、老化を防ぐ抗酸化物質が含まれています。また、サワードウには腸内の善玉菌に栄養を与える繊維が含まれており、腸内を改善する働きがあります。

2. グルテンを分解する働きがある。

グルテンを気にする方には朗報です。サワードウを使用すると、グルテン濃度が減少すると言われています。
あるパン屋で行った実験では、長時間発酵させるとグルテン濃度が約97%減少することがわかりました。
サワードウに含まれている乳酸菌は、グルテンを分解する働きがあると言われています。発酵時間が長ければ長いほど、グルテン量を減少させる効果があります。サワードウのパンに使用する材料にもよりますが、グルテンに敏感な方にはサワードウのパンがおすすめです。

3. ミネラルの吸収がいい。

ミネラルの多い食材を食べても、体内で全てのミネラルを吸収できるわけではありません。
穀物にはフェチン酸という成分が含まれており、ミネラルと結合しやすく、体内のミネラルの吸収が制限されてしまいます。つまり、フェチン酸が多く含まれていると、ミネラルが吸収できないのです。

しかし、サワードウは乳酸菌の働きによって、フェチン酸を抑制する働きがあります。サワードウのパンが栄養価が高いだけではなく、ミネラルの吸収も高めてくれるのです。

サワードウを始めるコツ。

サワードウの発酵プロセスは非常にシンプルです。使用する材料は「小麦粉」、「水」、塩のみです。しかし、より良いサワードウを作るためには材料の選び方にこだわる必要があります。

材料を選ぶコツ

・全粒粉に近い粉を選ぶと良い
・水道水ではなく天然水を使用すると良い

サワードウは小麦またはライ麦の皮に付着しているイーストを繁殖させて作ります。つまり、皮の部分が全て取り除かれた真っ白な粉はあまり向いていません。普通の小麦粉に全粒粉を少し混ぜて使用することをおすすめします。
また、小麦の皮は農薬が付着していて、酵母を育てるのにはよくないという人もいますが、実際のところはあまり関係ないようです。それでも気になる方はオーガニックのものを使用してみると良いでしょう。

水道水には塩素が含まれていて、殺菌効果があると言われています。したがって、水道水を使用すると、酵母を殺してしまう可能性があります。ですので、浄水や天然水を使用することおすすめします。

国産小麦で作れるのか。

国産の小麦粉でサワードウを作ることができるのでしょうか。結論、できます。発酵には環境と材料がとても重要です。そこで、小麦粉を取り扱う私たちだからおすすめできる、サワードウのための小麦粉をご紹介します。

・キタノカオリストレート
・有機キタノカオリ
・ライ麦粉

当店のユーザーから調査したところ、どうやらキタノカオリ小麦を使用するとうまくいくようです。当店では有機のキタノカオリもご用意しております。また、ライ麦パンを作りたい方におすすめなのが、北海道産のライ麦粉です。

サワードウの作り方。

用品:1リットルの瓶2つ、ゴムベラ
材料:小麦粉 60g、水(常温)60g

サワードウは普通のパン酵母よりも時間がかかることがあります。最低でも1週間くらいは必要だと考えてください。

作り方はシンプルです。小麦粉と水を時間をかけて足していくだけです。サワードウにはスターター(最初の粉)と餌やりの2つの作業があります。

まず、スターターについてです。
小麦粉と水を瓶の中に加え、ゴムベラでよくかき混ぜます。
ここで注意すべきことは、雑菌が入らないようにすることです。あらかじめ使用する瓶やゴムベラには熱湯消毒などを済ませておくと良いでしょう。
温度は22〜27℃の温度で48時間ほど放置します。そして、泡が見られるようになったら、スターターを半分ほど捨て、別の綺麗な瓶に移し替えます。ここで嫌な匂いではなく、香ばしいさを感じることができれば成功です。

翌日以降に行う作業は餌やりです。
再び同じ分量の小麦粉と水を加え、ゴムベラでよくかき混ぜます。この作業を3日〜7日間行います。瓶にだんだんかさが増してくるのがわかるかと思います。3日以降に少し気泡が見られるようになります。7日目以降、瓶は泡であふれそうになっていれば、サワードウの完成です。さっそく、サワードウの一部をパン材料に使用して見てください。

まとめ

サワードウは古くからある発酵方法の一つで、発酵プロセスは非常にシンプルです。また、サワードウには健康メリットがたくさんあります。
サワードウに挑戦するのはまだ早いなどと考えずに、まずはやってみることから始めてみてください。国産小麦でもサワードウを作ることは可能です。

この記事を読んで、少しでも挑戦するきっかけになってもらえれば幸いです。